2012 年 3 巻 1 号 p. 3_3-3_7
近年,千葉県内の理学療法士(PT)の研究に対する意識は高まっており,若いPTも積極的に研究に取り組んでいる。しかしその反面,質が問われる研究も散見される。また,研究に対して誤解をしているPT,症例報告の進め方を知らないPTも多く存在する。これらは系統立てた研究教育がされていないことが要因と考える。研究の本質は,分からないことを調べることであり,明らかでないことを明らかにする作業である。研究価値の高いテーマは,それがどれだけ世に知られていないかで決まる。そのため世界の先行研究を調べ尽くす作業,すなわち英語論文の収集の質・量が重要な鍵となる。良い研究とは背景や目的が詳細かつ明確化されている。実は身近な臨床でも研究は実践されている。症例報告でも論点を絞り込み,オリジナリティを見出していけば価値ある研究へと発展させることができる。本講座では研究の意義や価値,論文の価値の基準やその調査方法,症例報告の具体的方法について記述していく。