抄録
社会資本整備に関する計画確定行為が正当性を持つための要件である計画の合理性について,これまでにその全体像が充分に明らかにされてきたとは言い難い.そこで本稿では,計画確定行為における合理性を構成する概念体系を構築し,計画,及び,計画に関する制度や指針の検討において理論的示唆を与えることを目的とした.プランニングセオリーを始めとする合理性における知見と計画の特性を踏まえた上で計画確定行為の合理性を4つの概念に分解し,さらに既存の合理性概念の整理を援用しつつ,前述の4つの概念を構成する13の規範概念を示すことによって,計画確定行為の視座から描かれる合理性概念の全体像を明らかにしている.また,構築した概念体系を用いて法適用場面における合理性の使用実態を把握した.