2009 年 65 巻 3 号 p. 225-228
本研究では,土木事業に対する批判的な報道や論調が高まりつつある中で,土木事業に対する一般の人々の意識が,ここ数年の間にどのように変化しつつあるのかについて把握することを目的とする.この目的の下,京都市内の世帯を対象として,2001年と2006年に実施した調査から得られたパネルデータ(N=76)を用いて,土木事業に関わる肯定的・否定的論点に対する人々の認知度の変化について分析を行った.その結果,「土木事業は役に立たないものを造る」という否定的認知についてのみ,2001年からの5年の間に,有意に強まったことが示され,人々の土木事業の意義や必要性についての理解が低下しつつある可能性が示唆された.