本研究では,都市内の小規模の小売店で構成される商店街とそれ以外の商店街・ショッピングセンターの競争関係に着目する.家計が複数小売店でショッピングを行う場合,家計の商店街の選択行動を通じて,各小売店の利潤の間に相互関係が発生する.このような需要の外部性が存在する場合,個々の小売店による分権的な価格決定行動では,需要の外部性を内部化できず,商店街の商圏が過小になるという問題が発生する.本研究では,既成商店街における割引ポイント制度による価格調整機能に着目し,社会的に最適な市場構造を実現する方策について考察する.さらに,既成商店街における持続的な価格コーディネーション機能を維持するためには,割引ポイント制度の加盟店の間での価格束縛メカニズムが機能することが不可欠であることを明らかにする.