抄録
本研究においては,2001年のWHO総会で採択されたICF(生活機能分類)を基礎に移動との対応関係を考察し,生活機能の中で移動に関連する活動・参加機能を抽出し,美作市民を対象にしたアンケート調査により,これらの機能と身体機能,交通サービス享受の程度,居住地区などの背景因子との関連性を探った.その結果,活動・参加機能については,8つの機能を3つのフェーズ,つまり生命の保全,暮らしの維持,健康・文化活動の増進に分け得点化を行い,機能の達成状況を把握することができた.さらに,数量化I類分析により機能の達成状況の差異について分析したところ,車の利用可否,自力歩行移動距離,居住地区が主要な要因として抽出できた.そして,これらの分析結果を踏まえて,人々の特性別に生活機能の状況を推測する方法を示すことができた.