土木学会論文集D
Online ISSN : 1880-6058
ISSN-L : 1880-6058
66 巻 , 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
和文論文
  • 新田 保次, 竹林 弘晃
    2010 年 66 巻 3 号 p. 306-315
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究においては,2001年のWHO総会で採択されたICF(生活機能分類)を基礎に移動との対応関係を考察し,生活機能の中で移動に関連する活動・参加機能を抽出し,美作市民を対象にしたアンケート調査により,これらの機能と身体機能,交通サービス享受の程度,居住地区などの背景因子との関連性を探った.その結果,活動・参加機能については,8つの機能を3つのフェーズ,つまり生命の保全,暮らしの維持,健康・文化活動の増進に分け得点化を行い,機能の達成状況を把握することができた.さらに,数量化I類分析により機能の達成状況の差異について分析したところ,車の利用可否,自力歩行移動距離,居住地区が主要な要因として抽出できた.そして,これらの分析結果を踏まえて,人々の特性別に生活機能の状況を推測する方法を示すことができた.
  • 菅原 慎悦, 木村 浩, 班目 春樹
    2010 年 66 巻 3 号 p. 316-328
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では,文献調査と関係者へのインタビューをもとに,事前了解条項を持たない浜岡協定を通じて自治体がどう関与しているのかを明らかにし,その背景要因を考察した.結果,関係自治体は事前了解項目を敢えて盛り込まず,技術的判断を避ける形で運用を行ってきたこと,県よりも立地地域の判断が意思決定の中心にあること,隣接自治体でも立地自治体と同様のプロセスが展開されること等が明らかとなった.こうした自治体の関与を他立地と比較すると,自治体に規制権限のない現行法制と齟齬が少ない点,且つ自治体・事業者ともに過度な政治的負担を避けうる点が,特長といえる.こうした関与が可能となっている一因として,浜岡協定が早い段階から隣接自治体も巻き込んだ形で締結され,幅広いステークホルダーの関与を実現してきたことが挙げられる.
  • 田中 尚, 藤森 裕二, 貝戸 清之, 小林 潔司, 安野 貴人
    2010 年 66 巻 3 号 p. 329-341
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     浄水場施設のアセットマネジメントにおいて,コンクリート版に対する維持管理が重要な課題となっている.短・中期間を対象とした中性化速度式では,中性化深さが経過年数の平方根に比例するという仮定(以下,「ルートt則」と略す)が採用されている.しかし,アセットマネジメントの対象となる長期間に及ぶ中性化過程に関しては十分な知見が蓄積されていない.本研究では,浄水場施設のコンクリート構造物を対象に,長期にわたって蓄積された中性化深さの測定データに基づいて,長期的な中性化過程を解析するための加速劣化ハザードモデルを提案する.さらに,ルートt則に関する統計的仮説検定の結果,少なくとも対象とした長期間のデータに関してルートt則は棄却され,現実の中性化過程はルートt則より,加速して進行することが判明した.
  • 福井 浩, 小林 潔司
    2010 年 66 巻 3 号 p. 342-358
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/20
    ジャーナル フリー
     本研究では総合評価方式による一般競争入札における企業の入札行動を多次元オークションモデルを用いて定式化し,競争入札を通じてプロジェクトの品質水準や落札価格が決定されるメカニズムを分析し,消費者余剰を用いて品質水準を評価したスコアルールを採用することにより社会的余剰の最大化を達成できることを示す.さらに,総合評価型競争入札において,予定価格を設定することは競争入札の効率性を阻害する要因の一部となり得ることを示す.一方で,総合評価スコアの最低水準を意味する予定スコアを導入することにより,総合評価型競争入札均衡において政府が獲得するValue For Moneyを改善できることを理論的に明らかにする.さらに,最低価格型競争入札をとりあげ,予定価格の事前公示がもたらす経済効果について分析する.
  • 山田 忠史, 繁田 健, 今井 康治, 谷口 栄一
    2010 年 66 巻 3 号 p. 359-368
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
     本研究は,行政側の物資流動発生メカニズムや物流施策効果の適切な把握,および,企業側の施策理解に資するための,在庫費用を考慮したサプライチェーンネットワーク均衡モデルを提案する.製造業者,卸売業者,小売業者,消費市場,物流業者の分権的な意思決定や行動の相互作用を考慮した既存モデルに,消費市場での商品需要の不確実性に伴い発生する在庫費用を組み込み,各主体の意思決定の定式化,サプライチェーンネットワーク全体の均衡条件,および,その解法を示す.このモデルを用いて簡単な数値計算を行い,消費需要のばらつきや需要情報の共有が,物資流動量(商品取引量,生産量,輸送量)やサプライチェーンネットワークの効率性に及ぼす影響について,基礎的な考察を行う.
  • 藤倉 英世, 山田 圭二郎, 羽貝 正美
    2010 年 66 巻 3 号 p. 394-413
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     全国規模で生じている普通の地域の景観の劣化に対応するには,地域景観と地域社会の表裏一体の関係を地域住民が自ら明確に理解し,地域景観とローカル・ガバナンスを補完的に再構築していく理論が希求されている.本研究では,地域景観の構成要素と社会的活動諸相との関係を,旧開田村を対象として実証的に分析し,その相関構造と基本形成単位を抽出した.次に,相関構造に起因して地域景観に内的システムが生成することを示した.その上で,内的システムが発現(再現実化・再社会化)する際に生じる新たな地域社会の枠組みを模索する実体的な問いが,地域景観の再生とわが国の自治の本質的な課題である自己統治的ローカル・ガバナンスの再構築に連動し得る点に関して,その論理的枠組みを明らかにした.
和文報告
  • 赤倉 康寛, 瀬間 基広
    2010 年 66 巻 3 号 p. 369-382
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
     中国・インド等の旺盛な資源需要を背景に,石炭,鉄鉱石,穀物等のドライバルク貨物を輸送するバルクキャリアの大型化が,急激に進展している.我が国産業の国際競争力の維持・強化や,より安定した食糧原料の供給のためには,この大型化動向に対する我が国港湾の対応方策を,十分に検討しておく必要がある.一方,ドライバルク貨物輸送は,特定荷主のための不定期輸送であり,その情報は非常に限られている.以上の状況を踏まえ,本研究は,バルクキャリアの大型化動向の分析,我が国港湾施設の輸送船大型化に対する制約状況の把握,大型化による輸送コスト削減効果の算定により,我が国への三大バルク貨物輸送船の大型化に向けた方策について考察したものである.
  • 奥田 昌男, 中根 洋治, 可児 幸彦, 早川 清, 松井 保
    2010 年 66 巻 3 号 p. 383-393
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/09/21
    ジャーナル フリー
     中国が源流といわれる版築工法は土の突固めが工法の要であるから,土の突固め技法が渡来人の持込んだ技術であろうと推察し,土の突固め技法を突固め用小型道具の側面から中国の文献に遡って調査した.滋賀県湖東には,地盤を突固めるための道具として,ぐりんさんと呼ばれる地搗石が残されている.このぐりんさんを用いて地盤の突固め実験をした.実験結果から,ぐりんさんを用いて突固めた土工事の歩掛りを推定すると共に,ぐりんさん伝承の背景を文献史学的に調査した.これらの結果,ぐりんさんによる地盤の突固め効果は,近代的な締固め工法による盛土の締固め効果に劣らぬことが判明し,手作業による土工事の歩掛りも推定できた.また,地搗石伝承の文献調査過程において,ぐりんさんが亥の子突き風習と関係ある事と共に,その語源も推察できた.
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