本研究では総合評価方式による一般競争入札における企業の入札行動を多次元オークションモデルを用いて定式化し,競争入札を通じてプロジェクトの品質水準や落札価格が決定されるメカニズムを分析し,消費者余剰を用いて品質水準を評価したスコアルールを採用することにより社会的余剰の最大化を達成できることを示す.さらに,総合評価型競争入札において,予定価格を設定することは競争入札の効率性を阻害する要因の一部となり得ることを示す.一方で,総合評価スコアの最低水準を意味する予定スコアを導入することにより,総合評価型競争入札均衡において政府が獲得するValue For Moneyを改善できることを理論的に明らかにする.さらに,最低価格型競争入札をとりあげ,予定価格の事前公示がもたらす経済効果について分析する.