抄録
著者らは,別報において,変形性指標Γm(フロー値)とモルタルに一定の遠心力を作用させたときの浮き水の量と粉体容積との比である遠心分離水比WcsPは直線関係にあり,高性能AE減水剤SPの添加量ごとに規則的に傾きを変えるWcsP-Γm直線群はΓmが負の領域で焦点を結ぶ事実を見出し,この焦点を原点とする遠心分離水こそが,自由水として定義すべき状態量であるとの考えを提示した1).本報告では,配合と粘性の変化に伴う自由水の傾向を分析することにより,粒子の凝集形態が,SP添加量に応じて強凝集・遷移・分散の各領域に大別できること,また,粒子間摩擦には凝集体表面の摩擦と凝集体内部での摩擦があり,凝集体表面の摩擦は変形性を,凝集体内部での摩擦は粘性をそれぞれ支配することを明らかにした.