抄録
ペーストと骨材の熱膨張係数の差により発生する微視的温度応力が,高温履歴を受ける若材齢コンクリートの圧縮強度,引張強度,曲げ強度,弾性係数といった物性値に及ぼす影響を明らかにした.
蒸気養生を模擬した高温履歴を与えたとき,水結合材比が30%の場合は骨材の有無により圧縮強度が大きく異なった.水結合材比が50%の場合は,粗骨材の違いが物性値に大きな影響を与え,微視的温度応力の影響が明らかとなった.特に高炉スラグ微粉末含有コンクリートにおいて物性値の低下が大きかった.高温履歴を受ける場合は細骨材の影響も生じ,石灰石砕砂はペーストとの界面の接着による強度向上の効果が示唆された.材齢7日に高温履歴を与えた場合は,微視的温度応力の影響がわずかであり,圧縮強度と弾性係数の低下は実験誤差の範囲内にあった.