抄録
鉄筋コンクリート(RC)梁のせん断破壊は,曲げ破壊と異なり破壊の進行が急激で靭性に欠け,構造物に致命的な被害をもたらすことが知られている.本研究では,せん断スパン-有効高さ比(a/d)が1.97のRC梁を作成し,4点曲げ載荷試験を行ってせん断スパン内に発生するアコースティック・エミッション(AE)計測を行った.実験により得られたAE波形にAEパラメータ解析,SiGMA解析を適用し,せん断スパン内の破壊進行状況の考察を行った.その結果,載荷初期から破壊するまでの間に3段階のAE発生挙動が確認され,せん断破壊を,微小クラックの集積過程として機構的に,また,可視的に明らかにできた.