2008 年 64 巻 4 号 p. 500-514
本研究は,コンクリート中の鋼材のマクロセル腐食回路形成を二種類の方法で再現し解析的な検討を加えたものである.一種類目の考え方は,コンクリート中の含水率を変化させてコンクリート自体の抵抗を変化させる方法であり,二種類目の考え方は,鉄筋をマクロに分割してそれらを電気的に切断・接続することで鉄筋自体の抵抗を変化させる方法である.これらの実験結果を,著者らが既に提案しているマクロセル腐食回路形成に関する解析手法,とくにマルチサーキットモデルにより計算することにより,ミクロセル腐食回路形成における自然電位の差によりマクロセル腐食回路が形成されることを明かにした.また,ひび割れ間隔がマクロセル腐食回路の形成に及ぼす影響についても解析的に明かにした.