近年,配筋量の増大によって鉄筋の定着が規定通りにできないという問題が生じており,定着鉄筋の設計を性能照査型にする必要がある.そのためには,フック鉄筋のすべりや抜け出し量を知ることが必要となるが,曲線状の鉄筋では鉄筋の軸外変形が軸方向のすべり量に影響を及ぼすものと思われる.そこで,本研究ではフック鉄筋が引張力を受けた時の鉄筋の曲げ内側への変形とすべりについて検討を行った.実験結果は,鉄筋の軸外変形による付加すべり量は,直角フックで直線状の鉄筋の伸びによるすべり量と同程度,半円形フックでその1.5倍程度となり,降伏直前における伸びに付加すべりを加えたすべり量は,直角フックで直線状の鉄筋の1.8倍,半円形フックで2.6倍程度となることを示した.