2009 年 65 巻 4 号 p. 508-521
電気化学的測定は,コンクリート内部にある鉄筋の腐食状況を推定する非破壊検査として一般に使われている.しかし,電気化学的測定結果と実際の腐食状況を比較し,その測定精度を検証した事例はまだ多いとはいえない.本論文では,海洋および内陸環境下に暴露した補修を模擬した鉄筋コンクリートの腐食状況を調べ,自然電位,コンクリート比抵抗,分極抵抗などの電気化学的測定結果の精度を確認した.また,鉄筋の腐食面積率および腐食量から推定した腐食速度式と分極抵抗の測定結果から算出した腐食速度の値を比較し,その妥当性を確認した.その結果,腐食が進行している環境では腐食速度の傾向が一致することを確認できた.また,補修後の再劣化のメカニズムを電気化学的測定結果から推定出来ることが確認され,本手法が有効であることが示された.