土木学会論文集E
Online ISSN : 1880-6066
ISSN-L : 1880-6066
和文論文
未損傷部への選択的な鉄筋配置が定着部損傷を有するRC部材の耐荷機構に及ぼす影響
千々和 伸浩川中 勲前川 宏一
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 66 巻 2 号 p. 179-192

詳細
抄録

 RC部材の主鉄筋定着部に発生する腐食ひび割れは部材耐荷力を大きく低下させ,損傷定着部の直接的な修繕の効果は一般に低い.そこで,腐食ひび割れ先端近傍からせん断ひび割れが脆性的に誘発されることを鑑み,せん断ひび割れの貫通が想定される健全部に限って予防保全的な補強を施すことを検討した.鉄筋をせん断スパン内に局所的に配置する補強は剛性急変点を形成するため,ひび割れは付加した補強材を回避して進展し,部材耐力を回復することが困難であることを実験で示した.この機構が数値解析でも再現可能であることを確認した後に感度解析を実施し,劣化の未だ及んでいない部位に対する予防保全的な補強行為が部材耐力の回復に有効となる条件について検討した.実験から本補強が有効に機能することも確認された.

著者関連情報
© 2010 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top