抄録
アルカリシリカ反応を生じた構造物におけるシラン系表面含浸材の効果的な適用に関して検討するため,実構造物を想定した供試体を作成し約1年半にわたり屋外暴露を行った.主な実験要因として施工時期に着目し,膨張抑制効果が発揮される範囲を把握するために補修面からの距離毎に膨張率を測定したほか,膨張に影響を与える供試体内部の水分量を把握するために複数の測定孔を設け相対湿度を測定した.その結果,補修面から250mm程度までの範囲で膨張抑制効果を確認した他,早期に施工する方がより大きな膨張抑制効果を発揮することが分かった.併せて,亜硝酸リチウムの内部圧入についても同様の屋外暴露に供した結果,良好な膨張抑制効果を確認した.また,実験結果に基づき,両補修材の実構造物への適用において期待される効果等について検討した.