抄録
本論文では,初めて水理学を学ぶ者の学習支援を目指した教科書・参考書の執筆を目的に,アンケートと,これまでに出版された「水理学」および「水理学演習」に関連する教科書・参考書を分析した.
アンケートの回答結果から,講義での説明にも,教科書・参考書での記述に対しても,学習者は,水理学が扱う物理現象(流れ)とその数学的な記述との関係が理解できないと感じていることが認められた.また,これまでの教科書・参考書(48冊)に採用されている章の見出しを,章立ての基本となる12項目に大別し分析した結果と,アンケートやオフィスアワー(学生が教員と面談することができる時間)にて出された意見や質問とを総合すると,高い採用割合を示す四つの項目(流体の基礎,開水路流れ,管水路流れ,ポテンシャル流)の順序構成が,初めての学習者にとって適切であるか十分に検討する必要があると判断された.