2019 年 75 巻 1 号 p. 48-61
わが国は財政制約から新規のインフラ投資が困難な状況の中で,従来に増して複雑で対応が難しい社会基盤計画の時代を迎えている.プロジェクトの減少や長期化が起きており,若手技術者のプロジェクト実現経験の減少は,大きな負のスパイラルを描いて,技術力を低下させていく可能性が高い.困難な状況に上手に適応し,それを遂行するレジリエンス能力を備えた若手人材を多く輩出することが重要かつ必須と考える.本稿では困難なプロジェクトを乗り越えてきた 6 名の先人を題材に,幼少期からのオーラルヒストリーを得て,土木技術者に必要なレジリエンス能力と能力形成過程を考察した.