2021 年 77 巻 1 号 p. 1-10
高速道路事業を担う技術者組織のマネジメント力を継承する仕組みとして研修を設計,開発,運営し,暗黙知伝承について考察した.各時代で高機能道路の技術規準を生み出してきた指導的組織の同一性感覚を継承すべく,過去事例を疑似体験しつつ新しい社会情勢や技術を取り込む二重構造の研修を開発し,研修前後で直属の上司による受講者の業務に対する評価を測定することで効果を示した.受講者自身が疑似体験できるロールプレイング要素を活かすことで研修の効果は増え,講師陣のリーダーシップによって研修効果が倍増することが分かった.受講者が説明を受けずに本研修の仕組みを理解し評価したため,暗黙知を形式知として定義した技術系マネジメント力に加えて,いまだ定義されていない暗黙知が受講者に伝わったと見なした.