抄録
近年,コンクリート構造物の断面修復にポリマーセメントモルタルを使用した湿式吹付け工法が適用される場合が多くなってきている.そこで,多様化する現場の要求へ柔軟に対応でき,小型機械で施工可能な断面修復材料および工法の開発を目指し,アルカリフリー液体急結剤とポリマーセメントモルタルを併用する湿式吹付工法を開発した.本工法は,100mm程度までの厚吹付けが可能であり初期強度の発現性,ポンプ圧送性,鉄筋背面への充てん性,はく落抵抗性に優れる等の特徴を有するものである.本報では,開発した断面修復工法の特徴,基本物性,施工システムを示すとともに,施工性能に関する試験,大型試験体による一体性評価試験,実構造物への適用事例等について報告する.