2007 年 63 巻 2 号 p. 212-224
鉄道沿線では,間知石を用いた石積壁により防護された盛土や切土のり面を多く見ることができる.このような石積壁のなかでも自立性地山の前面に構築された石積壁については,地震時における挙動が明かにされていなかったために,適切な耐震補強方法が確立されていないという課題があった.そこで,模型を用いた振動台実験で明らかにした地震による石積壁の変形メカニズムに基づいて,新しい耐震補強工を考案し,模型実験によってその補強効果を検証した.また,実施工への適用を考慮してグラウト材および施工方法を検討し,特殊な材料を必要としない簡易な方法で考案した耐震補強工を施工することが可能であることを明らかにした.