水素は将来の環境に良いクリーンエネルギーとして,実用化に大きな期待が寄せられている.この 1つの活用形態として,埋設導管による水素ガスの燃料電池への供給構想が国内外で検討されている.これらを実現する上で,最も重要となるのが保安確保である.これには配管材料の信頼性評価だけでなく,万一の水素ガス漏出時の地中での移動範囲や速度などの移動特性に関する知見が極めて重要で,安全な設備の設計や維持管理を行う上で基盤となる.これら水素ガス供給用埋設導管の保安確保の基礎を確立するため,実大規模の水素ガスの地中漏出実験と数値解析を実施して地中における水素ガスの移動特性を確認するとともに,水素ガスの漏洩検知技術の確立を目的として各種の埋設場所・条件下での水素ガスの移動特性を調査した.