2021 年 77 巻 3 号 p. 296-301
著者は,ベントナイトの透水現象や膨潤挙動に関する実験的・理論的研究を通じて,主要粘土鉱物であるモンモリロナイトの層間距離を理論的に算出する方法を提案してきた.本方法により算出されるモンモリロナイトの層間距離と層間を通過しようとする微小物質の大きさを比較することにより,モンモリロナイトによる濾過性能の定量評価が可能となる.本研究では,本方法の妥当性が人工海水環境下におけるベントナイト系材料の透水特性において,モンモリロナイトによる海水成分の濾過の定量評価により示されたことを踏まえ,本方法を産業最終廃棄物処分場の遮水工に適用し,昨今課題となっている生物由来の廃棄物からの微小物質を濾過できる遮水材仕様を推算した.