土木学会論文集C(地圏工学)
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和文論文
  • 高柳 剛, 佐藤 亮太, 布川 修
    2021 年 77 巻 3 号 p. 195-212
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     積雪地帯では融雪水を誘因とする斜面崩壊が生じることがある.本研究では,同災害に対する警戒基準として,気温などの気象データより推定される融雪量の解析値を反映した実効雨量(実効融雪量)を評価指標に用いる方法の開発を目指し,同指標に設定する半減期を検証した.積雪地帯における複数の鉄道沿線斜面の地下水位挙動と同指標を比較した結果,半減期に概ね24時間~96時間を設定することで両者に強い相関性が認められることを確認した.さらに鉄道の過去の同災害事例を分析し,盛土では半減期を96時間とした同指標を採用することで,効率的に災害が捕捉できる可能性を示唆した.

  • 斎藤 秀樹, 山崎 充, 八嶋 厚, 名波 一輝, 青池 邦夫, 曽根 好徳
    2021 年 77 巻 3 号 p. 213-232
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     グラウンドアンカー(以下,アンカー)は,自然斜面や切土,構造物等の安定化を図る目的で用いられる.アンカーは,一般に自然地盤に設置されるため,対策効果を発揮するためには,アンカー自体に常に応力が作用し,地盤にも負担が生じる.アンカーおよび地盤の安定性を評価するためには,アンカーに作用している現状での緊張力を確認しなければならない.アンカーの残存緊張力は,リフトオフ試験や荷重計で確認できるが,多数のアンカーを,長期的・定期的に計測することは,費用面および安全対策上困難である.本論文では,こうした課題を解決するために,模型実験と現場実証試験を通し,振動法を用いた新しい非破壊計測方法を提案した.その結果,誤差10%程度以内の精度で,3種類の定着タイプのアンカーの残存緊張力を推定することが可能となった.

  • 高橋 啓介, 小松 満, 岩田 徹, 瀧本 弘治
    2021 年 77 巻 3 号 p. 233-247
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     近年,都市部でのトンネル工事において未固結地盤を主とする地質に対してもNATM工法を採用するケースが増えている.高透水性の砂質層の出現により湧水が問題となった場合,止水工法などの補助工法が必要となるが,採用するグラウト材の種類や使用量によっては,工事費の増大や地下水環境への負荷が問題となることから,新たな材料の開発が必要である.そこで,本研究では岡山県産の粒径の異なる2種類のカオリンクレーに着目し,高い動水勾配の一次元浸透条件下でカオリンクレー懸濁液を圧力注入した場合の挙動を調査した.その結果,透水係数を最も低下させることのできる最適な濃度と粘性が存在することが判明し,その要因について注入時のグラウタビリティー比と注入後の間隙内移動から考察を行った.

  • 小友 行峰, 丸山 收
    2021 年 77 巻 3 号 p. 248-257
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     道路に設置されたプレキャストL型擁壁は,製品間が剛接でないため,通行する車輌の輪荷重を製品延長2mで受けている.本研究は,最初に軽量形鋼で作製した箱の壁面を利用する繰返し載荷実験により,裏込め土を介して壁面に作用する水平応力を測定した.次に疑似L型擁壁を作製して,たて壁の静的破壊実験を行った.静的破壊実験から得られた結果および軽量形鋼の壁面に作用した水平応力を基に,繰返し載荷で疑似L型擁壁が破壊する輪荷重を推定した.最後に疑似L型擁壁に破壊する輪荷重前後で繰返し載荷実験を行った.その結果,擁壁背面の裏込め土を介して擁壁たて壁が破壊する載荷回数は,繰返し載荷重の大きさで変わるのを確認できた.

  • 篠田 昌弘, 宮田 喜壽
    2021 年 77 巻 3 号 p. 258-270
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/07/20
    ジャーナル 認証あり

     地層構成が複雑で,弱層等を有する自然斜面の安定性を評価する場合には,すべり線を円弧と仮定して算定された安全率が必ずしも最小であるとは言えない.このような場合には,すべり線を非円弧と仮定して安全率を算定する必要がある.本論文では,単純または複雑な地層構成を有する4つの斜面モデルを対象に,広く採用されている粒子群最適化法と計算効率が改善された新しい修正適応型粒子群最適化法を用いて,非円弧すべり線を有する斜面の安全率を算定する.粒子群最適化法のパラメータを様々に変えて算定を行い,計算精度と計算時間の観点から二つの粒子群最適化法の最適なパラメータを決定する.最適なパラメータを用いて斜面の安全率を算定して,提案する修正適応型粒子群最適化法の優位性を示す.

  • 原 淳子, 吉 俊輔, 友口 勝, 川辺 能成, 張 銘
    2021 年 77 巻 3 号 p. 271-282
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/08/20
    ジャーナル 認証あり

     有害元素を含む岩石を盛土や土木資材として再利用する場合,どのような評価試験を実施して安全性を評価するかは大変重要な課題である.本論ではヒ素(As)を含むトンネル掘削岩を使用してAs溶出量の各種主要因について評価を行い,岩ズリを評価する際の有効なバッチ式溶出試験法について議論した.その結果,土壌と同等の粉砕岩を用いて岩ズリからのAs溶出量を議論する上で,As溶出挙動の主因子となる2次鉱物Fe/Al(水)酸化物およびCa化合物が関与する吸脱着反応を短時間で検証するのは困難な事が明らかとなった.岩ズリの長期的な溶出リスクを評価するには,乾湿繰返しによる最大溶出量,総溶出可能量を念頭においた評価手法が有効と考えられた.

  • 岩井 裕正, 安井 俊平
    2021 年 77 巻 3 号 p. 283-295
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル 認証あり

     筆者らは,海底地すべりを模擬した室内模型実験により,水中での地すべり運動が速度時刻歴の特徴から3パターンに分類できることを明らかにしてきた.特に,大規模な地すべりに発展する場合,速度一定の定常状態を経て地すべり速度が正に発散するという,クリープ破壊的な挙動を示した.そこで,このような地すべりの運動形態が異なる現象を,定常状態にあるすべりからの分岐問題としてとらえ,非線形摩擦則を考慮した運動方程式の線形安定解析を実施した.その結果,定常状態から摂動が与えられた後のせん断応力の変化によって,支配方程式の解軌道が3パターンに分岐することが分かった.さらに,それぞれの場合について速度時刻歴を数値計算した結果,実験で得られた速度のパターン分類と定性挙動が一致し,実験結果を数学的に裏付ける結果を得た.

  • 高山 裕介, 菊池 広人
    2021 年 77 巻 3 号 p. 302-313
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル 認証あり

     放射性廃棄物の地層処分施設の緩衝材への利用が検討されているベントナイトの膨潤特性を把握するため,数多くの膨潤圧試験が実施されてきた.本研究では,膨潤圧試験でしばしば観測される飽和に至るまでの過程で一度膨潤圧が低下する現象の原因を明らかにするため,X線CT測定により膨潤圧の経時変化と供試体の状態変遷の関係の把握を行った.その結果,膨潤圧が低下する期間において,供試体内部での吸水圧縮挙動の発生が観測され,これにより膨潤圧が低下したものと推測された.さらに,複数の荷重条件に対する膨潤変形試験の結果,膨潤圧と同等からやや小さい荷重条件でも飽和に至る過程で吸水圧縮挙動が生じることが確認された.これらの試験データは,処分施設の力学挙動を評価するための連成解析コードの検証データとしての活用が期待される.

  • 竹下 祐二, 三木 愛実, 池田 結
    2021 年 77 巻 3 号 p. 314-324
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル 認証あり

     不飽和地盤の現場飽和透水係数を原位置で測定する定水位透水試験方法であるプレッシャーインフィルトロメータ(GPI)法を応用した簡易な原位置変水位透水試験を実施した.この透水試験方法では,地表面に貫入した単一の浸潤用円筒内から変水位により浸潤を行い,浸潤用円筒内水位の低下挙動を小型自記水位計により自動計測して,選定した任意の浸潤水位において算出した浸潤流量を用いて現場飽和透水係数を測定する.本文では,現場飽和透水係数の算定精度を支配する変水位透水過程における浸潤水位と浸潤流量の算定方法および2段階の浸潤水位を用いたGPI法への適用性について検討した.提案する簡易型変水位透水試験は,砂丘砂地盤および一級河川堤防のり面において実施し,GPI法との比較を行うことで,その有用性と妥当性を検証した.

和文ノート
  • 小峯 秀雄
    2021 年 77 巻 3 号 p. 296-301
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル 認証あり

     著者は,ベントナイトの透水現象や膨潤挙動に関する実験的・理論的研究を通じて,主要粘土鉱物であるモンモリロナイトの層間距離を理論的に算出する方法を提案してきた.本方法により算出されるモンモリロナイトの層間距離と層間を通過しようとする微小物質の大きさを比較することにより,モンモリロナイトによる濾過性能の定量評価が可能となる.本研究では,本方法の妥当性が人工海水環境下におけるベントナイト系材料の透水特性において,モンモリロナイトによる海水成分の濾過の定量評価により示されたことを踏まえ,本方法を産業最終廃棄物処分場の遮水工に適用し,昨今課題となっている生物由来の廃棄物からの微小物質を濾過できる遮水材仕様を推算した.

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