神奈川県の相模湖は夏季のアオコ発生が問題となっている.そのため,エアレーションを含む対策が実施されてきたが,完全な抑制には至っていない.一方で,相模湖は発電放流が毎日実施されており,この発電放流方法の工夫によるアオコ抑制策が検討されているが,放流による湖水流動影響には不明な点が多い.そこで本研究では,2012年8月の放流時と非放流時において,超音波多層流向流速計(ADCP)による流速観測と多項目水質計による水質観測を実施し,発電放流が湖水流動に与える影響を検討した.その結果,放流時は河川からの流入水が湖の下層に潜り込むように流下し,ダムでは全層から流出する様子が捉えられた.一方,非放流時には全層において湖水の滞留が顕著となり,表層では湖心から上流側の河川部にかけて逆流域の広がる様子が明らかとなった.