2019 年 75 巻 2 号 p. I_1237-I_1242
豪雨時において斜面内に発生する湧水は,斜面崩壊の予兆の一つとして広く知られている.一方,従来の均一場を仮定した浸透流解析では,局所的に発生する湧水の状況を表現することができない.また,豪雨時には地表面付近の飽和度の上昇に伴って間隙空気圧が上昇し,その結果,降雨浸透の抑制が生じることが考えられるが,従来の浸透流解析ではこのような現象は考慮されていない.これに対して本研究では,透水係数の空間分布モデルを用いて不均一な斜面における豪雨時の湧水の発生条件および間隙空気の影響について,3次元数値シミュレーションにより検討し,降水量,斜面の透水性,表土層厚等と,湧水の発生状況について整理することを試みた.