土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第64巻
破堤シナリオの相違が潜在的氾濫リスク箇所と避難タイミングに与える影響
伏見 健吾田中 規夫海野瀬 綾乃
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2019 年 75 巻 2 号 p. I_1339-I_1344

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抄録

 荒川中流域の潜在的な破堤リスク箇所を把握し,川島町の洪水避難における時間的情報を分析するために,浸透破壊を考慮した3つの破堤条件で氾濫解析を行った.河川の合流部や,河床勾配の変化点など水位が高くなりやすい箇所では,浸透破壊が生じるリスクが高く,設定条件において,荒川上流,越辺川と入間川の合流部で破堤と判定された.また,荒川上流部で浸透破壊が生じ多量の氾濫流が吉見町に流れ込むため,下流の控堤の破堤時刻が早くなる現象も発生した.川島町は氾濫流の溜まりやすい地形である.浸透破壊まで考慮した場合には,町外となる坂戸市や川越市も浸水している可能性が高く,荒川左岸側に避難することが有効である.また,川島町の南東の地域では浸水深が高く家屋倒壊の危険があるという点においても,荒川左岸側への避難が推奨される.

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© 2019 公益社団法人 土木学会
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