2019 年 75 巻 2 号 p. I_571-I_576
レベル 2 津波に対して計画される多重防御構造の減災効果を一般化するには,精度が高くかつ計算負荷の小さい津波氾濫解析モデルが必要である.特に,堤防越流の解析は氾濫域や背後の家屋破壊等に大きく影響するため精度が求められる.
本研究では1次元非線形長波方程式を改良し,既往研究および水理実験との比較から精度を検証した.その結果,遡上先端計算法の工夫やQUICKスキームの導入により堤防天端上の水面形の精度が向上することが示された.また,堤防天端幅に対するグリッドサイズが1倍以下であれば堤防越流量の精度は高く,堤防の法肩・法尻の地盤高を適切に与えれば,2倍でも堤防背後の水深と越流量の精度は高い.また,非定常流においても堤防背後における水深・流速の時系列変化の精度が高いことが示された.