2019 年 75 巻 2 号 p. I_613-I_618
河川流量の観測は,長年「浮子」による観測が安価で確実とされ,多くの河川で実施されてきた.しかし,局地的な豪雨に伴う急激な水位上昇や計画規模を超える出水が頻発する中,危険を伴う現地で,多くの人員を必要とすることは大きな課題である.近年の技術開発で各種の非接触式の観測方法が検討され,多くの研究から精度も向上してきており,これら新技術の実河川での実用化が期待されている.
平成30年7月豪雨を対象に太田川中流に位置する中野観測所において試行されている画像解析(STIV)流量観測では,同時実施した浮子観測・既存のH-Q式での流量値と差が大きいことが課題となった.このため本検討では,航空レーザ測深(ALB)により得られた高精度の地形データと樹高・密生度用いて平面2次元解析モデルを作成した.HQ流量と画像解析流量の2ケースで計算を行い,観測水位との比較を行うことで,画像解析による流量の妥当性を示した.