2022 年 78 巻 1 号 p. 7-22
本研究は,高解像度広域分布型水文モデルに河道の測量横断面データを導入する際に課題となる平面位置補正,河道上補間,標高補正等の工程を自動化するアルゴリズムを開発し,一級水系直轄管理区間の72.9%にあたる7734.7kmに計26032の測量横断面を導入した日本全域RRIモデルを構築した.続いて,矩形河道モデルと測量横断面導入モデルとを用いた2018年西日本豪雨の比較再現実験から,観測水位再現精度に測量横断面の導入が及ぼす影響を検討した.実験結果の比較から,特にピーク水位差の平均・標準偏差が−2.04±1.70mから0.14±0.88mに改善し,水位の過小評価バイアスが解消されるなど,本手法での測量横断面導入により,大規模出水に対して広域的に観測水位の再現精度が向上することが示された.