2022 年 78 巻 2 号 p. I_1-I_6
我が国では,一級河川の主要区間の計画規模は1/100から1/200であるのに対して,主要区間以外ではそれを下回る計画規模が採用されることが多く,大規模洪水発生時には本川に比べて計画規模の小さい支川からの氾濫の危険度が高い.一方,洪水浸水想定区域図においては支川氾濫は考慮されておらず,大雨発生時の水災害リスクを適切に表現できていない可能性がある.本研究では,石川県の一級河川梯川を対象として,支川である八丁川からの氾濫を表現した氾濫解析モデルを構築し,大規模洪水発生時の浸水状況について検討した.梯川と八丁川の両河川での破堤氾濫を仮定した解析結果では,最大浸水深の変化は限定的であった.一方,浸水継続時間については,梯川単独破堤の時に比べて広範囲での浸水が9時間以上にわたって長期化する結果となった.