2022 年 78 巻 2 号 p. I_1015-I_1020
日本各地で集中豪雨や台風による被害が増加する中,自主的な避難行動を促すために住民が災害のリスクを適切に認識することが必要である.本研究では,VRを用いて水害の疑似体験が可能なコンテンツを作成するとともに,住民参加のワークショップを通して住民の災害リスク認識,防災意識の変容を検討した.その結果,住民は高潮の浸水認識についてハザードマップの想定と合致する方向に認識するようになった.さらに,避難に関する物や情報の準備,家財を守るといった行動をするタイミングが早くなったり,浸水被害を避けるように避難経路・場所を変更したりするなど防災意識が向上する可能性も示唆された.