2022 年 78 巻 2 号 p. I_1261-I_1266
ロックフィルダムにおける浸透量の観測はダムの安全管理において重要であるが,観測された浸透量には,貯水池から堤体及び基礎岩盤を通じた浸透のほか,降水等の気象影響が含まれている.そこで本論文では,日常的に堤体の遮水機能の状態を把握するため,管理ダムの浸透量,貯水位,気象等の観測結果の整理・分析を行い,浸透量の貯水位との関係性と降雨応答特性を考慮した浸透量評価の汎用モデルの構築を試みた.その結果,気象条件や浸透量の計測状況の異なるダムへの現況再現によりモデルの妥当性を確認した.また,汎用モデルの計算値から堤体の基底浸透量が分離できることから,浸透量の異常判定など堤体安全性評価に適用できることを示唆した.