2022 年 78 巻 2 号 p. I_169-I_174
昨今の土木分野の人手不足問題や社会情勢の変化により,インフラ分野のDXが注目を浴びている.その中でも施設点検や水防災分野ではAIが多岐に亘り利用され始めている.AIをインフラ分野に用いた例は増えているものの,AIを洪水予測分野で利用する手法は未だに確立されていない.そこで本研究では,山梨県の富士川水系塩川に位置する塩川ダムを対象に深層学習(DNN)を用いたダム流入量予測モデルを構築し,そのDNNモデルの再現性を評価するため,貯留関数法やRRIモデルの流出計算結果と比較した.その結果,塩川ダムにおけるDNNモデルは,他の流出モデルを上回る再現性と安定した推定が可能であった.以上より,塩川ダムの流入量予測においてDNNモデルは洪水規模を問わず有効な予測手法の一つであることが確認された.