2022 年 78 巻 2 号 p. I_43-I_48
北海道周辺域における夏季の線状降水帯の発生数の顕著な年は,7, 8月平均の環境場と海面水温により特徴付けられることが先行研究において指摘されている.本研究では,水平5km解像度のレーダアメダス解析雨量から線状かつ停滞性を有する降雨イベントを線状降水帯と定義し,現在気候と将来予測気候の双方の数千年相当の情報量を有するd4PDFの降雨データに適用した.過去実験,2度上昇実験,4度上昇実験のそれぞれにおいて基準を満たす線状降水帯の多発年は,太平洋高気圧の張り出しが強く北海道周辺において南西からの暖湿空気が卓越する一方,寡少年においてはオホーツク海高気圧の張り出しが強く北海道周辺において南西からの暖湿空気の流入が少ない観測事実と一致することがわかった.