2022 年 78 巻 2 号 p. I_517-I_522
本研究では,マイクロ波を用いた土壌水分衛星観測アルゴリズムの一要素である湿潤土壌の誘電率モデルについて,これまで広く用いられてきたDobsonモデルからMironovモデル,あるいは著者らの提案する新しいモデルに変更することの効果を1.4,10,36GHzの3つの周波数に対して全球で検討した.DobsonモデルからMironovモデルに変更した場合には,1.4GHzと10GHzに対しては土壌水分量推定値が上がる地域・季節が多いことが示された.Dobsonモデルから提案モデルに変更した場合には,ほとんどの地域・季節で土壌水分量推定値が上がることが示された.いずれの場合も,モデル変更に伴う推定誘電率の変化の方向やその程度は,地域(土性)や季節(水分量),周波数によって異なっていた.