2022 年 78 巻 2 号 p. I_889-I_894
急流河川では,洪水の減衰期に河道内の流れが大きく蛇行して河岸侵食が大規模に進行する現象がよくみられる.しかし,流量の減少が流路変動や河岸侵食にどう影響しているのかについては未だ明らかでない.本研究では,侵食性河岸を有する移動床水路において流量を減少させた非定常流量下での水理実験を実施した.最大流量を維持した定常流量下のケースと比較した結果,流量を減少させたケースでは河岸の側方への侵食速度が約2倍に増大した.通水中の平面的な流況計測より,砂州によって外岸へ導かれる流れと河岸形状との位置関係が蛇行発達に影響していることを示すとともに,流量減少に応答した砂州の流下速度の低下がきっかけとなり,流量減少の過程で砂州性蛇行が発達しやすい状況になることを示した.