2022 年 78 巻 2 号 p. I_925-I_930
今日,気候変動に伴う河川水温の上昇が水質や河川生態系に影響を及ぼすことが懸念され,将来気候予測シミュレーションの将来気温から河川水温を流域スケールで評価する必要がある.本研究では,気温のみから流域スケールの水温予測が可能なモデルを開発し,d4PDFの4℃上昇実験の将来気温を用いて河川水温予測を実施した.現在気候下における精度検証の結果,構築した水温予測モデルは流域全域で高い再現性が示された.そして,河川水温の将来予測より,夏季における河川水温の将来変化量は他の季節と比較して小さかったが,流域全体として見ると最高で6.0℃の昇温が確認された.また,冬季と夏季の日平均水温の将来変化から魚類の生息環境の変化や外来沈水植物の異常繁茂をもたらす可能性が示唆された.