2020 年 76 巻 1 号 p. 71-82
関東大震災後の帝都復興では土地区画整理による市街地の面整備によって復興小公園が実現した.本論文では,土地区画整理の議論過程における小規模公園への言及に着目し,小規模公園を配置する構想が土地区画整理を事業手法とする計画として告示される経緯を明らかにした.帝都復興院は計画初期から小規模公園の新設を構想していたが,当初は土地区画整理の施行区域を街路沿いに限定していたため土地区画整理による小公園新設の議論はなかなか具体化しなかった.ところが審議会で復興計画の縮小を求められ,復興院は総経費削減のために土地区画整理の施行区域を街路沿いから焼失地全域に変更した.この方針転換により土地区画整理は街路用地取得の手段から市街地の面整備の手段へとその意義が変化し,土地区画整理を事業手法とする小公園計画が実現した.