2021 年 77 巻 1 号 p. 80-91
本研究では,東海道新幹線と山陽新幹線の鉄筋コンクリート構造物を対象とし,建設時の特徴が長期供用後の構造物の劣化状況に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.工事誌を用いることで,施工管理体制や使用材料・技術を起因とする施工上の特徴が明らかとなり,これらの特徴と実構造物の調査結果を比較することで東海道新幹線は比較的良質なコンクリート構造物が施工されたことが確認できた.さらに,山陽新幹線との比較により水セメント比や塩化物イオン量の違い等の建設時の特徴が供用後数十年経過したコンクリート構造物の劣化状況に影響を与えていることが確認された.