2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_1193-67_I_1205
本研究では,大規模交差点において観測調査を行い,右左折車の車両挙動,横断者挙動特性および交差点構造と歩車交錯危険性の関係を分析した.速度特性分析より,車線交差角と右折車の平均速度とは負の相関があり,一方,左折車の平均速度とは正の相関があることがわかった.交錯発生エリア分析より,自転車では横断歩道中心部での交錯事象発生が多く,左折車は交差点により発生エリアにばらつきが大きいことがわかった.さらに,横断者,車両の進入タイミングと交錯強度を同時に考慮可能なリスク値評価式を提案し,調査交差点におけるリスク値を推計することで,現在の交通状況,交差点構造における問題点を示した.また危険交錯事象発生予測モデルを構築し,感度分析を行うことで,危険な歩車交錯発生数を減ずる具体的な方策および効果を明らかにした.