土木学会論文集D3(土木計画学)
Online ISSN : 2185-6540
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和文論文
  • 金森 貴洋, 厳 網林
    2018 年 74 巻 4 号 p. 261-274
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     東日本大震災から6年が経過し,津波被災地では集団移転が完了しつつある.究極的な津波予防対策である集団移転によって安全性が確保される一方で,高齢者住民の生活は大きく変容することが予想される.本稿では,人口減少・高齢化が進む中で行われた地形起伏の大きい地域における集団移転が高齢者住民の徒歩による生活にどのような影響を与え得るのかを明らかにした.具体的には傾斜・身体機能による影響を反映した歩行負荷量を算出し,各集団移転団地から最寄りの生活施設までの徒歩アクセシビリティ評価を行った.分析の結果,気仙沼市において全96団地中6割が公共交通の徒歩圏外にあり,15団地は全ての生活施設まで徒歩で到達することが困難であることが明らかになった.また,標高が高い団地は徒歩アクセシビリティが悪化する傾向がみられた.
  • 三橋 洸道, 神谷 大介, 吉田 護, 峰 翔太, 柿本 竜治, 赤松 良久, 二瓶 泰雄
    2018 年 74 巻 4 号 p. 275-286
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     豪雨災害に対して,住民は災害に関する情報を適切に取得し避難する必要がある.住民の避難のきっかけとなる情報は,自治体からの情報だけでなく,近隣住民の呼びかけ等も含まれる.住民は,複数の情報源に依拠することで避難行動に関する頑健な意思決定が可能となる.よって本研究では,複数の情報源に着目して避難意図形成モデルを構築した.その結果,近隣住民や上流に住む友人の勧めが避難行動のきっかけになることを明らかにした.また,災害の深刻さや避難行動の効果性の認知を高め,避難行動の面倒さの認識を低めることが避難意図形成に寄与すると同時に,避難勧告は行政情報への信頼,近所からの勧めは地域意識,上流に住む友人からの勧めは防災への地域協力意識をそれぞれ醸成することが避難意図を高めるために有効であることを明らかにした.
  • 川端 祐一郎, 高橋 祐貴, 宮川 愛由, 藤井 聡
    2018 年 74 巻 4 号 p. 287-305
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     1970年代以降,心理学等の諸分野において物語型のコミュニケーションや思考がもたらす心理的・社会的効果に関する実証研究が行われており,その知見は公共政策に関する合意形成過程への応用も可能であると考えられる.本研究では,情報の「物語化」操作の内容を具体的に示した上で,高知県黒潮町の津波対策事業に関する「物語性の強いシナリオ」と「弱いシナリオ」を用意し,両者が読み手に与える効果を比較する実験を行った.その結果,強く物語化されたシナリオはより大きな態度変容を引き起こすことに加え,その変容には「物語志向性」「物語への移入」「状況モデルの形成」といった要因が影響を与えることが示された.また,情報の物語化手順を明確化したことで,物語型コミュニケーションの実践利用の技法に関し,具体性のある示唆が得られた.
  • 安藤 宏恵, 倉内 文孝, 杉浦 聡志
    2018 年 74 巻 4 号 p. 306-319
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     津波避難計画の策定は地域の実情にあわせることが求められおり,各地域の地理的条件などから,効率的な避難施設や交通ネットワーク整備計画を立案する必要があるが,具体的かつ効果的な計画手法については未だ確立されていない.本研究では,避難計画立案の一助となることを目的とし,地域住民全員の避難完了時間を最小とするリンクベースによる歩車混合型最適避難計画モデルを構築し,これを用いることで最適な避難方法を提案することとする.また,それらを実ネットワークに適用し,避難完了時間短縮のための改善策の検討をおこなう.さらに,最長避難完了時間を制約条件とし,避難施設整備の総費用最小化をおこなうネットワークデザイン問題を構築し試算することで,目標避難時間達成のための最適な施設整備を議論可能であることを示す.
  • 瀬木 俊輔, 小林 潔司, 松島 格也, 小林 優輔
    2018 年 74 巻 4 号 p. 320-333
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,主要な輸出財を生産する企業が外国資本に所有されている途上国を対象とした一般均衡モデルを定式化し,交通インフラの整備が途上国の産業構造に与える影響を分析する.モデルの定式化に当たっては,外国資本に所有される貿易財部門と国内資本に所有される非貿易財部門から構成される2部門開放経済を想定する.モデルの分析の結果,このような途上国において,世界市場との貿易費用を下げる交通インフラの整備は,貿易財部門を拡大すると同時に,非貿易財部門の縮小をもたらし,国内資本の企業数や経営者数を減らすことを示す.一方,国内交易の費用を下げる交通インフラの整備は,非貿易財部門の拡大をもたらすことを示す.さらに,この分析結果に基づき,途上国の長期経済発展に関わる政策的含意について考察する.
  • 鈴木 美緒, 村田 直人
    2018 年 74 巻 4 号 p. 334-342
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     電動アシスト自転車の普及に伴い,電動アシスト自転車乗用中の事故件数も増加傾向にある.本研究では,高齢者の電動アシスト自転車利用における交差点部での信号待ち,発進姿勢の調査や日常生活における高齢者の自転車走行ルート選択調査,さらには自転車利用に関する意識調査を実施し,電動アシスト自転車特有の事故発生要因について多角的に分析を行なった.その結果,高齢の電動アシスト自転車利用者は,速度を出し過ぎているという認識が欠如している上に,交差点での待機時の危険認識も足りていない傾向があるにもかかわらず速度の出やすい経路を好んで選択しているため,停止すべき場所でもあまり停まりたくないという心理が働き,これが交差点での飛び出しや一旦不停止による事故につながると考えられることが明らかとなった.
  • 小林 潔司, 櫻木 恵子, Jin YUZE, 瀬木 俊輔
    2018 年 74 巻 4 号 p. 343-355
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/10/20
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,域内の事業者と域外の顧客のマッチングを形成し,地域サービス財の取引を効率化するような地域サービスプラットフォームに着目する.地域サービスプラットフォームにおいては,潜在的な事業者が提供する地域サービス財を顧客のニーズに合わせて価値向上を図るためのコンサルティング機能が必要となる.プラットフォームは複数の種類の地域サービス財を提供するとともに,それぞれのサービス種類に対して域内の複数の事業者が異質なメニュウを提供する.このようにサービスの種類の多様性とメニュウの多様性の最適な組み合わせを分析するような理論モデルを定式化する.そのうえで,地域サービスプラットフォームが取り扱う地域サービス財の最適な種類と最適料金の関係について分析する.
  • 田中 皓介, 長谷川 貴史, 宮川 愛由, 三村 聡, 氏原 岳人, 藤井 聡
    2018 年 74 巻 4 号 p. 356-368
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり
     近年の日本では大型店舗立地による雇用機会,税収,買い物客の増加が期待されるものの,その根拠は乏しい.それどころか先行研究では,大型店舗での買い物は地元商店での買い物に比べて,地域経済の活性化に繋がらないことが実証的に示されている.本研究は,京都市での先行研究の知見が他都市においても妥当するかを検証するため,岡山市を対象に調査・分析を行った.その結果,買い物支出のうち岡山市に帰着する割合は,地元小型商店,地元中型商店ではそれぞれ67.13%,55.21%であった.一方,天満屋,全国チェーンYではそれぞれ40.00%,28.48%に留まり,地元小型商店や地元中型商店の方がチェーン型大型店舗よりも,買い物支出が岡山市に帰着する割合が高いことが示された.こうした傾向は京都市を対象に行った先行研究の知見を支持する結果である.
  • 瀬木 俊輔, 小林 潔司, 松島 格也
    2018 年 74 巻 4 号 p. 369-386
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり
     スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどのフランチャイズ小売企業は,都市内や都市近郊に物流センターを配置することにより,チェーン店に対する商品配送の効率化を達成している.本研究では,都市内道路整備による商品の輸送時間短縮が,物流センターの立地を促進することを指摘する.そのために,フランチャイズ小売企業の在庫管理行動をモデル化し,物流センターが有する機能には,個別チェーン店の直面する商品在庫保有リスクを集約する機能と,都市外からの商品仕入れにおけるロットサイズの大型化を達成する機能の二つがあることを明らかにする.そのうえで,都市内道路整備による物流の円滑化が,都市内のチェーン店や物流センターの立地パターンを再編する効果や,消費者の買い物利便性を改善する効果について分析する.
  • 高橋 瑠衣, 川野 倫輝, 佐藤 嘉洋, 円山 琢也
    2018 年 74 巻 4 号 p. 387-397
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり
     近年,宅配荷物の再配達の多さが社会的問題となっている.再配達が増加している要因の一つに,世帯単位での不在率が上昇したことが挙げられる.しかし,世帯単位の不在率の傾向を実証的に示した研究は見当たらない.本研究ではパーソントリップ調査(PT調査)のデータを用いて個人及び世帯不在率の算出法を構築し,個人および世帯属性別の不在率の実態を実証的に明らかにする.具体的に熊本都市圏PT調査のデータを用いて,2時点間の個人及び世帯不在率を比較し,時系列変化に影響を及ぼす要因について考察する.結果として,15年間で個人不在率には大きな変化がないものの,世帯不在率は大幅に上昇したことなどを示した.また,その要因を世帯構成比の変化と世帯構成別の不在率の変化に分解し,それらの影響の時間帯別の違いなどを実証的に明らかにした.
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