2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_283-67_I_290
本研究では,視覚障がい者は移動を伴う観光行動へのニーズの表明率が低いという既往研究の結果を踏まえて,自身の五感を使って地区の魅力を体得するような楽しい散策経験は,散策意図の向上に寄与すると仮説を設定した.散策の支援策の一つとして観光ガイドに着目し,観光ガイドを伴った散策経験により,当該地の魅力の認知ならびに当該地を散策しようという散策意図の向上に寄与する可能性を検証し,観光ガイドを伴った散策の効果について考察を行うことを研究目的とした.その結果,観光ガイドを伴った散策の経験は,地区の印象や推薦意図の向上を促すことが確認され,視覚障がい者が当該地の魅力を認知することに寄与することが確認された.しかし,散策意図の向上を図ることは難しいことが明らかになった.