抄録
本研究は,カーシェアリング(以下CS)への加入が交通行動,とりわけ自動車利用距離の削減に及ぼす影響を把握することを目的に,京都市内のCS会員に対して実施したアンケート調査結果を分析した.具体的には,CS加入前後の自家用車保有状況別に回答者をグループ分けし,自動車利用距離(自家用車とCS車両の利用距離)の変化を把握した.
結果,CSに加入することで自家用車を手放した回答者の自動車利用距離は,加入後に約8割減少していることが明らかとなった.さらに,加入後に自動車利用距離が増加している回答者を含めた回答者全員の自動車利用距離の合計でも,約3割減少していた.これは,CS加入後に自動車利用が増加していた回答者の増加量を上回るほど,自家用車を手放した回答者の自動車利用距離削減量が大きかったためであった.