2011 年 67 巻 5 号 p. 67_I_673-67_I_681
低炭素社会の実現やその原資確保に向けた効率的な交通施策として道路課金政策が注目され,公平性や受容性の観点からは課金収入をいかに再分配するかが重要とされる.本研究では再分配効果を交通状況,効率性,公平性の視点から考察する.具体的には,所得階層(時間価値)別の交通手段選択モデルを組み込んだマルチクラス統合均衡モデルにて課金収入再分配のシナリオ別に社会的余剰を算出し,名古屋都市圏を対象としたコードン型の駐車デポジットシステム(PDS)の導入評価を行う.課金収入再分配の施策メニューとして,高速道路通行料金と鉄道運賃の割引を設定した場合,課金スキームにより分配比率は異なり,再分配を行うことで効率性と公平性は改善し,特に低所得者層に大きな影響が及ぶことを確認した.