2012 年 68 巻 5 号 p. I_1271-I_1278
道路整備の効果や影響を把握している事例は,整備直後の短期的な交通量や旅行速度の調査結果であることが多い.一方,昨今は多様な動線データが取得可能となってきている.例えば,2007年3月に関東の1都7県でバスICカードが導入され,現在では約345万人/日もの利用データが取得されている.また,普通車のプローブデータの利活用も進んでおり,日々の動線を把握できる環境が整ってきている.
本研究は,バスICカードデータを用いた道路整備効果の分析手法を考案した.そして,提案手法を実際の道路整備事例に適用し,プローブデータも用いて整備の効果や影響を明らかにした.具体的には,バスの区間通過時間の変化や定時性の変化に加え,長期間の影響分析から,動線データの利用や効果把握に向けた実務面の課題も考察した.ひ