2012 年 68 巻 5 号 p. I_305-I_313
海外では,自動車の交通機能を主とした道路計画から脱却し,歩行者や自転車,公共交通など様々な利用者や道路機能を活かしてリアロケーションなどの道路空間整備が進められている.一方国内では,道路空間再構築や自転車通行環境整備などについて一部検討されているが,その計画立案手法が未確立であり,道路利用者のニーズに応えることはできていない.本研究は,既往道路空間の再構築に向けた,日本における道路空間計画手法の立案を目指すものである.本論では,交通流動分析により,道路空間再構築を実施した場合の道路交通への影響検証を行い,実現可能性を考察した.その結果,今回の検討地域では,道路空間再構築により車道の走行性が低下した場合でも,TDMに伴い自動車交通が転換した場合には,大きな交通影響は発生しないことが予測された.