2012 年 68 巻 5 号 p. I_679-I_690
本研究の目的は,歩行者流動の把握を念頭に置いた歩行者挙動モデルの構築である.歩行者挙動の研究は既に多数行われているが,幾つかの課題が残されている.まず,実データの裏付けがないことが多い.これに対し,本研究では駅構内における実際の歩行者流動のデータを取得し,それに基づいてモデルパラメータの同定を行う.次に,歩行者の目的地選択の考慮が難しいという問題がある.本研究では,Plan-Action Modelという新たな行動モデルを用いて,歩行者の動的な目的地選択と経路選択を同時にモデル化する.実証分析においては,通勤時間帯における混雑がみられる駅改札付近の空間を対象とし,歩行者の改札選択を目的地選択と見立て,経路選択と統合したモデルを構築した.最後に,構築したモデルに基づいた簡易な歩行者挙動シミュレータを開発した.