抄録
近年,人工知能や機械学習等の知的情報処理分野においてアンサンブル学習というモデル構築手法に注目が集まっている.アンサンブル学習とは,複数の単純なモデルを構築し,それらを用いた分類結果を統合して最終的な分類結果を得る手法であり,高精度だが計算コストが高いニューラルネットワークやサポートベクターマシン等の機械学習手法に劣らない精度を発揮することが知られている.交通機関選択モデルは多種多様な意思決定主体の総体としての判断を表現するものであり,アンサンブル学習によるモデル化が有効であると考えられる.本研究では,平成18年に実施された道央都市圏パーソントリップ調査結果を用いてアンサンブル学習による交通機関選択モデル構築を行い,他手法との比較分析によって有用性と課題を検討した.