2015 年 71 巻 5 号 p. I_1047-I_1053
普及初期段階にある電気自動車(Electric Vehicle,以下EV)の活用方法の一つにカーシェアリングが考えられる.しかし,EVはガソリン車と比べて航続距離が短い,充電に時間を要するといった短所を持つため,ガソリン車と同等の活用が可能であるか不明瞭である.そこで本研究では,EVの特性を考慮した効率的なカーシェアリングの運用方法を検討する.そのために,まず実証実験を通しEVカーシェアリングの利用実態を詳細に把握した.次に実証実験で得たデータより,モンテカルロ法を用いたシミュレーション分析を行った.その結果,運営時間や利用範囲の設定に応じた適切な会員数を導いた.加えて小規模事業所向けEVカーシェアリングではEVの利用を短距離,短時間に限定することで,車両1台当りの1日の利用回数や稼働時間が増加するとの知見を得た.