2015 年 71 巻 5 号 p. I_337-I_346
CO2排出の急増が見込まれるアジア開発途上国の都市での交通の低炭素化は,国際的な重要課題の1つであるが,その実現において都市の経済や社会の利益を損なわない持続可能な開発が必要が急務である.しかし,大きく社会経済が変化する大都市において,長期的将来の低炭素交通システムを設計するには,従来の予測分析手法の適用は限界がある.本研究では,アジア開発途上国大都市において2050年の低炭素交通システムをAVOID,SHIFT,IMPROVEの戦略で設計するために,それぞれの戦略の重要性を診断し,低炭素交通システムのビジョニングから生活の質(QOL)の分析を用いた施策評価までを治療として行う手法を提示する.